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作者 くらじ ななえ

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  ジローくんは、お花畑で思いっきりあそんでいる夢をみていました。
れんげ、たんぽぽ、しろつめくさ、すみれ、色とりどりの花のじゅうたんのなかで、ジローくんは黒柴のチョビとごろごろ遊びをしていました。どこからかあまーいにおいがただよってきました。

においだけじゃありません。
あまずっぱい、美味しいにおい!
ウウン、そうじゃあなっくて、このゆめは“あまい”ゾ。
ジローくんは、ごくらく気分になりました。

おふろのなかでいつもパパが、「あー、ごくらく、ごくらく」と言っているのを思い出し、ちょっとまねしてみたのでした。


「あ〜、ごくらく、ごくらく」
そのとき突然、黒柴のチョビが、ジローくんの顔をなめはじめました。わあ、チョビ、やめてよ。くすぐったいじゃない。

チョビは、なんだかおいしそうに、ジローくんのお口のまわりをペロペロなめました。
やめてよチョビ、と言ってジローくんは大きな口を開けました。
そのときです。チョビがジローくんの歯に、噛みついてきたのです。

「痛いッ!」

えりなちゃん、タローくん、どうしてだれもたすけてくれないの、そう思ってジローくんは、必死でまわりを見回しましたが、だれの姿も見えません。

「UK 、UK 」
トラ猫のUKの名前も呼んでみましたが、返事がありません。
なんて静かなんだろう。

ジローくんは、ちょっと泣きたい気分になってきました。
歯は、ますます痛くなりました。





一人でお家へ帰ろうと思った瞬間、ぴゅうと風がふきました。かぜにのって、甘いにおいと何だかきいたことのある歌声が聞こえてくるではありませんか。

「とんとんとんかち・かちかちかち、こっちのこーはあーまいぞ、とんとんとんかち・かちかちかち。歯みがきする子は、まーずいぞ、とんとんとんかち・かちかちかち…」
夢のなかでジローくんは、小人の歌を聞いたのです。

「とんとんとんかち・かちかちかち、こっちのこーはあーまいぞ、とんとんとんかち・かちかちかち」
耳元で、はっきり聞こえました。


ジローくんは、よーく見てみようと声の方をむきました。エイッと目を開けると、ビックリぎょうてん!
だって、五人の小人たちと目が合ってしまったのですもの。
ぴゅうとふいた風は、窓際のカーテンをゆらしています。窓から差し込む月明かりで、ジローくんが見たものは、とんかちを手にした小さな小人たちでした。

「とんとんとんかち、かちかちかち…」
と歌いながら行進していた小人の一人がアッと声をあげました。

「たいへんだっ。この子はジローくんだ!」
小人の
でした。
夢と現実がごっちゃになった小さなジローくんには、なにがなんだかわかりません。

「やあ、小人の
くんだ、こんばんは。なにしてんの」
ジローくんはそういいながらペロッと自分の口のまわりを一周なめました。あまずっぱくて、おいしい味…。
でも、奥歯がずきーん、とします。
「あのね、ジローくん。
きみは今日、ドロップをなめながらねたでしょう。
あんまりおいしそうだったので、ぼくらたまらずに、きみの歯を食べにきちゃったんだ。
ジローくんとタローくんとえりなちゃんの歯だけは食べないって約束してたのに、ゴメンね。
あしたからは、よーく歯をみがいて、歯に味をつけないでね。そうしないとまた来たくなっちゃうから」


ちょっとこわいことを言って、小人たちは帰っていきました。

いまのことタローくんにも教えてあげなくちゃ、そう思いましたが、ジローくんのまぶたは重くなり、もう夢の中にもどっていたのでした。
ちいさなジローくんは、今夜のおはなしをみんなにつたえられるかな? 次回のおたのしみです。


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