1才でまだ歯が生えてこなくても、ほとんどの場合心配はいりません。でもあまり生えてこないようなら、専門の歯医者さんに相談すると良いでしょう。離乳食のことは、赤ちゃんが元気で食欲があるのなら気にすることはありません。食べたければ歯がなくても食べてくれますし、遅れているわけでもありません。あまり神経質になる必要はないでしょう。
乳歯のうちからの虫歯予防は大切です。虫歯になった乳歯を放っておくと、口中に虫歯菌が増えつづけ、永久歯が生える頃には虫歯になりやすい環境が整ってしまいます。
また、虫歯で乳歯が抜けると、永久歯が傾いたり重なって生えがちで、歯並びが悪くなります。こうなると、せっかく歯みがきをしても食べかすや歯垢が歯間にたまりやすく、さらに虫歯になりやすい環境を作ってしまいます。
哺乳びんや母乳がなかなか卒業できない赤ちゃんは、前歯が虫歯になる子が多いようです。乳首で飲むと、上の前歯の裏に飲み物がたまりやすくなります。また、上の前歯は、下の前歯と違ってだ液にさらされることが少ないので、虫歯になりやすいのです。
さらに睡眠中は、だ液の分泌も減るので、寝る前にミルクやジュースを飲むと、口の中が酸性になり、虫歯ができやすい環境になります。
前歯が生えそろってきたら、寝る前の授乳はなるべく早めに卒業しましょう。難しい場合は、歯みがきなどで虫歯予防をしっかりと行いましょう。
歯のすき間掃除には、やはりデンタルフロスが一番です。
歯ブラシだけでは落としきれない歯垢は、
デンタルフロスを使って落としましょう。
30cmほど切り取り、左右の中指に巻きつけ、人さし指と親指でつまんで、約1cm幅にピンと張って、歯のすき間にすべり込ませます。張る幅が長いと、力の調節ができずに歯肉にくい込み、傷つけてしまう心配があるので注意してください。
歯垢がたまって石灰化して硬くなったものが歯石です。
歯石は必ず歯医者さんで取ってもらいましょう。
歯周組織はデリケートなため、素人判断で勝手に道具を使ってとったりすると、歯肉を傷つけたり、歯を欠けさせてしまうこともありますので注意してください。歯科健診に行けば、歯石もチェックしてもらえます。
乳歯でも永久歯でも、生えて間もないころのエナメル質は、石灰化度が低く酸に弱い特徴があります。唾液中のカルシウムやリン酸を受けとって、エナメル質はだんだんかたくなっていきます。
このとき歯の周りに「低濃度のフッ素イオン」が常に存在すると、エナメル質はフッ素イオンをとり込み、酸に強い組織になることができます。虫歯予防のためには、フッ化物配合の歯みがき剤やフッ素ジェルなどを毎日使いましょう。
フッ素で歯のエナメル質を強化することは虫歯予防の第一歩で、虫歯予防の先進国では、歯が生えたらフッ化物配合の歯みがき剤でみがくような指導が、赤ちゃんのときから習慣づけられています。
このように家庭では低濃度のフッ素を使い、さらに、保健所や歯科医院で年に数回のフッ素塗布をしてもらうと、虫歯予防にはより効果的です。ぜひ塗布してもらうことをおススメします。
治療は何才からでもできます。治療方法は歯のメディカルクリーニングをして銀を塗ったり、フッ素塗布をしたり、赤ちゃん用のプラスチックを詰めたり、さし歯にしたりなどいろいろとあります。
ただ治療中にすごく暴れたり、こわがったりするなどのお子さんのタイプや、治療中に家庭でどこまで歯の管理ができるかなどによって治療法は違ってきます。お子さんが歯医者さんに慣れる意味でも、
まず、主治医を決めて定期的に通い、お子さんのタイプや家庭での管理の限界などを主治医とよく相談して治療法を決めていくのがいいでしょう。
あまりにもみがかせてくれない場合は、歯医者さんでみがいてもらう方法もあります。でもみがかせてくれない原因のほとんどは、お母さんのみがき方が痛い場合が多いのです。
たとえばお母さんのみがく力が強すぎる、動かし方が大きすぎる、歯ブラシが大きすぎる、歯ブラシの毛先が開いている、歯ぐきにまで歯ブラシを当てているなどの理由から、お子さまが痛がっていることなども考えられます。
また押さえつけられることを極度にいやがるタイプのお子さんもいますから、歯みがきのためのビデオや絵本などを利用しながら、歯みがき好きになるような雰囲気に持っていくことも大事ですね。それでもいやがる場合は、専門の歯医者さんと相談しながら習慣づけるのがよいと思います。
あごが成長する時期には、少なからず歯のすり減りが起こるものです。
子どもの歯ぎしりは生理的に起きるもので、普通は心配いりません。
もし、2才半を過ぎて、乳歯列が完成した後でも歯ぎしりがひどい場合は、乳歯がすり減りすぎて神経が出てきたり、圧迫されて歯根膜が炎症を起こしたりする場合があります。このときは、マウスガードのようなものを装着させて就寝するようにします。
また、かみ合わせや形態異常が原因で歯ぎしりが起こることもあり、その場合も、歯を少しずつ削って調整するなどの処置が必要となります。
一度、小児歯科で相談しておくと安心ですね。
1つは妊娠によってエストロゲンやプロゲストロンなどの女性ホルモンが増加することが原因で、歯肉が敏感になったり、特定の細菌が増えてしまい、歯肉が腫れたり、歯肉炎を起こして出血しやすくなったりするためです。
もう1つは、妊娠すると、だ液の分泌が減ったり、酸性から中性に引き戻す力が弱まる場合があげられます。加えてつわりなどで歯をみがけないことも多く、ふだんより虫歯になるリスクが高くなってしまいます。
また、妊婦さんは妊娠前よりカルシウムをとる必要がありますが、それが不足すると、母体の骨や歯に蓄えれられた分を放出するため、歯周病のリスクが増えるとも言われています。