当院の院長は、日本で予防歯科が普及するずっと以前から、30年以上(※)にわたって予防歯科に取り組んでまいりました。
その過程では予防歯科の世界的権威であるカウコ・マキネン教授やエバ・サーダリン教授、サラ・カリヤライネン教授(いずれもトゥルク大学/フィンランド)、そして羽村章教授(日本歯科大学)から教えを受けました。
院長は、日本における予防歯科の黎明期から研究・啓発活動を続けている、先駆者の1人と言っても過言ではないのです。
近年は妊婦さんと生まれて来る赤ちゃんのお口の健康を増進する、「マタニティ歯科」という予防歯科の関連分野にも力を注いでおります。また日本歯科大学附属病院で臨床教授を務めるほか、「日本フィンランドむし歯予防研究会」では副会長としても活動。日本において予防歯科がより一層普及するよう取り組むとともに、後進の若手歯科医師や歯科衛生士の教育・指導にも積極的に携わっています。
「予防歯科」は、歯科医院での処置だけで完結できるものではありません。そこには患者さまご自身の協力が不可欠です。歯科医師や歯科衛生士は、患者さまのお口を守るための「ホームケア・プログラミングのプロ」である。当院ではスタッフをそう位置づけ、患者さまのお口の状況に応じてどのような予防を行うのが良いか、適切な判断に努めております。
さらにご自宅でのケアで不足する部分を見極めて、歯科医院がサポートすべきことを検討。すべての患者さまに画一的な処置をするのではなく、私どもがこれまでに積み上げてきた予防歯科の豊富な経験を活かし、一人ひとりのお口の状況に合わせたより適切な予防法をご提案できるよう最善を尽くしております。
※2020年現在
院長 倉治ななえ
なぜ院長はこれほどまでに、予防歯科へ情熱を注いでいるのでしょうか。そのきっかけになったのは、院長自身の娘にできた虫歯です。
人一倍気にかけていた娘のお口の環境。毎日しっかりと時間をかけて歯磨きをし、磨き残しなどないはずでした。しかし小学5年生を迎えた娘の奥歯には、大きな虫歯ができてしまいました。
「ずっと虫歯などなかったし、歯磨きもしっかりしていたのに」という思いでいっぱいになった院長は、歯磨きだけでは虫歯を予防できないのかもしれないと考え、フィンランドに渡りました。何故娘は虫歯になってしまったのか…。予防歯科で他国をけん引するフィンランドであれば、その答えがあると思ったからです。
現地で虫歯について深く研鑽を積むうちに、歯磨きだけでは虫歯を防げないこと、娘の虫歯の原因は「フッ素」が足りていなかったためであることなどがわかってきました。
現代では虫歯予防の際によく耳にする「フッ素」ですが、当時の日本ではまだあまり注目されておらず、歯磨き粉にもフッ素はほとんど含まれていませんでした。虫歯予防と聞くと思い出すことの多い「キシリトール」も、まだ日本では売られていなかった時代の話です。
こうして院長は、日本では「予防歯科」という概念自体がまだ普及していないと痛感し、この分野に力を入れるようになりました。正しい虫歯予防を日本で正しく広めることが、自分の使命だと考えています。そして現在、娘での失敗を孫のお口でリベンジしています。
「キシリトールは歯に良さそう」と思っていらっしゃる方は、少なくないと思います。しかし実際にキシリトールの何が良いのかということまでご存知の方は、そう多くないのではないでしょうか。
実はこのキシリトールには、皆さまが思っておられる以上に、虫歯予防の効果があるのです。
さまざまなキシリトールの虫歯予防効果の中でも、特に素晴らしいのは「長期間にわたって定期的に摂取することで、虫歯菌を減らせる」というものです。
院長はキシリトールが日本で販売されていなかった年にフィンランドに渡り、虫歯予防研修を受講、その虫歯予防効果を目の当たりにいたしました。それがきっかけでキシリトールの研究を開始。日本で開業している歯科医師としては初めて、キシリトールを用いた母子の予防歯科に取り組み始めたのです。
以来当院では、キシリトールを積極的に取り入れた予防歯科をご提供しております。
虫歯菌がお母さまのお口からお子さまに感染するということは、育児本や母親教室でも教えられていますので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
この「お母さまのお口からの虫歯菌感染」は、いつ起こるかということが重要なカギを握っています。感染が早ければ早いほどお子さまは虫歯にかかりやすくなり、逆に遅ければ遅いほどかかりにくくなるということがわかっているためです。
そこで院長が注目したのが「キシリトール」でした。キシリトールが持つ虫歯菌を減らす効果が、母子感染予防にも良い結果をもたらすのではないかと考えたのです。お母さまのお口の虫歯菌を減らせば、お子さまにも感染しにくくなります。この研究は現在も続いており、その結果を定期的に国内外で発表。研究の中で、院長はキシリトールが虫歯菌の母子感染予防に効果があることを証明しております。
当院の「母子の予防歯科」はこうした研究実績に裏打ちされているために、実践的な虫歯菌の母子感染予防法として定評があり、多くの歯科医師の皆さまにもご支持いただいています。
このように院長が診療のかたわら予防歯科に関する研究を続けているのは、より効果の高い虫歯予防を患者さまにお届けしたいという強い思いがあるためです。お子さまの虫歯予防は、ぜひ私どもにお任せください。
虫歯菌の数を減らしたり、虫歯菌の母子感染を予防したりする効果のあるキシリトールが、厚生労働省から食品添加物として認可されたのは1997年のことです。それ以降、日本でもキシリトール製品が販売されるようになりました。院長はそれから合計で11回、フィンランドでの予防歯科研修に参加しております。
フィンランドにおけるキシリトールタブレットを用いた初めての保健活動は、トゥルク保健センターが行いました。当院の院長はその場にも赴いており、タブレットを日本に持ち帰ると、歯科関係のメーカーのみならずお菓子メーカーの研究者にも見本品を配布しました。このような活動が、日本における虫歯菌の母子感染予防研究の礎となったのです。
現在日本で販売されているキシリトールタブレットは、トゥルク大学と日本フィンランドむし歯予防研究会(羽村章理事長)が開催したI.I.P.D(International Institute of Preventive Dentistry)研修がきっかけとなって生まれました。院長は主催者のひとりとして、多くの日本の歯科医師と歯科衛生士の皆さまへキシリトールを普及するために奔走しました。
このような経験の中で得たキシリトールに関する豊富な知識を認められて、現在では企業からも共同開発のオファーをいただくようになり、キシリトール製品やお子さまのための歯ブラシ開発にも携わっております。
予防歯科先進国であるフィンランドやスウェーデン、アメリカでの研修に参加してきた当院。フィンランド式の予防法にスウェーデンやアメリカで行われている予防法を取り入れ、各国の良い部分を組み合わせた独自の予防プログラムをご提供しています。
フィンランドではキシリトールが、スウェーデンやアメリカではフッ素やPMTC(歯のクリーニング)が、それぞれ予防のために重要だと言われています。しかし「キシリトールガムを1日10個噛む」といったような方法では、患者さまにかかるご負担も少なくありません。
そこで院長はスウェーデンやアメリカで推奨されているフッ素とPMTCを組み合わせることで、キシリトールによる予防の割合を減らせるのではないかと考え、その理論を独自のプログラムとして作り上げました。そして患者さまのご協力のもと、ご一緒に予防法を確立してきたのです。
虫歯や歯周病のかかりやすさには個人差があります。歯や唾液の質、お口の中の虫歯菌や歯周病菌の種類や量によって左右されるためです。
そこで私どもでは詳細な「唾液テスト(カリエスリスクテスト)」を患者さまに受けていただいております。このテストにより、唾液の質や虫歯菌・歯周病菌の種類や数がわかるので、虫歯などのかかりやすさを患者さまごとに把握できます。唾液テストの結果をもとにすることにより、一人ひとりに合った効果的な予防プログラムが組めるのです。
このような詳細な検査を実施した上で、これまでにフッ素を塗布したことがあるか、食生活はどうか、全身のご病気の有無など患者さまの生活や状況を詳しくヒアリング。さらにDMFT(これまで虫歯にかかった歯の経験本数などの確認)の内容を考慮し、総合的にどのくらい虫歯にかかりやすいのかを診断いたします。
虫歯のかかりやすさによってご自宅で行うホームケアの内容が変わるため、このような詳細な検査によって患者さまの「虫歯のかかりやすさ」を診断し、それぞれの患者さまに適した予防プログラムを作成しているのです。
唾液テスト (カリエスリスクテスト) | 10,000円(税別) |
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患者さまに、ご自宅でのケア方法についてお教えしております。ご自宅では以下の4つのケアを行っていただきます。
フッ素入り歯磨き剤を使った歯磨き(1日2回)
年齢に適した濃度のフッ素入り歯磨き剤を適量歯ブラシにつけて、1日2回、歯磨きをする。
全ての歯に軽く塗った後、虫歯の部分にさらに念入りに塗ります。フッ素ジェルは患者さまの年齢とリスクに合わせてお選びします。
砂糖入りのあめ、ヌガー(乳酸菌入りキャンディーなど)、乳酸飲料(ヨーグルトドリンク)の摂取は禁止です。それ以外の甘味は、やめる必要はありません。食事の直後にデザートとして甘いものを食べるのは問題ありませんし、甘い飲み物を食事中に飲むのもOKです。
年齢や体重に応じて量を調整しますが、キシリトールガムまたはキシリトールタブレットを1日3回程度摂ります。
PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)と呼ばれる、お口と歯のクリーニング。予防歯科のプロである歯科衛生士が、ふだんの歯磨きでは落としきれない歯の表面のバイオフィルムごと汚れをキレイに取り除きます。
当院のモニター検査ではPMTC直後~3ヶ月程度、虫歯菌の明らかな現象が培養テストで証明されています。
治療のリスクや副作用:効果には個人差があります。出血を伴う可能性があります。
治療の価格:20分:4,000円(税別)、30分:6,000円(税別)、45分:9,000円、60分:12,000円(税別)
歯を強くして虫歯にかかりにくくする効果のある「フッ素」というお薬を歯の表面に塗ります。虫歯の予防に効果的な方法です。
治療のリスクや副作用:フッ素の効果には個人差があります。一度に多量のフッ素を摂取する、または長期にわたり過量のフッ素を摂取することで中毒症状が現れる場合があります(歯科医院では適量を守っているので中毒症状が起こる可能性はほぼありません)。
治療の価格:1回 3,000円(税別)
「3DS」とは、虫歯の原因となる細菌を殺菌するお薬をマウスピースに入れ、一定時間お口に装着することで、歯の表面の虫歯菌を除菌する治療方法です。
一般的には「クロルヘキシジン」という薬剤を使うことが多いのですが、当院では虫歯予防の効果が高いとされる900ppmの濃度のフッ化物配合ジェルとキシリトール粉末を混ぜ合わせた物をマウスピースに入れて、1日10分噛むということを3か月間行っていただいています。
クロルヘキシジンは虫歯菌の殺菌効果は強いものの、他の良い菌をも殺菌してしまうデメリットがあります。その点キシリトールは虫歯菌のみに効くため、他の菌に悪影響を及ぼすことがありません。フッ化物配合ジェルとキシリトール粉末を用いた3DSは、通常の3DSに比べお口に優しい治療と言えます。
治療のリスクや副作用:フッ素を誤って大量に飲み込むとフッ素中毒になる可能性があります。余分なフッ素は飲み込まず吐き出すことが大切です。
治療の価格:50,000円(税別)
お口の中を拝見し、歯や歯ぐきの状態を確認します。
患者さまの年齢や生活習慣、お口の状態をもとに、予防プランを立てます。
歯のクリーニングやフッ素塗布、歯磨き方法のレクチャー等をいたします。
STEP1~3を定期的に行っていきます。